[2005年06月30日]
俳句(2005-06-30)
ポンペイ最後の日の穀象ひた歩む
成瀬櫻桃子(1925~2004)
穀象(こくぞう)が夏の季語。
夏になると、米びつを開けると米に混じって小さな点々を見つけることがあります。ゾウムシ科の黒色の体長2、3ミリほどの甲虫です。米に付く害虫で、口が突き出ていて象の鼻のように見えることからこの名があります。米を日差しに当てると死んだふりをします。一見、ユーモラスな虫です。
西暦79年、ヨーロッパ大陸でただ一つの活火山であるベスビオが噴火して、ポンペイが滅亡する日、生物はどのようにしても噴火から逃れことはできません。それでもありうることがないのに、穀象はただひたすらに歩みます。ポンペイと穀象の取り合わせに唸ります。
なるせ・おうとうしは、岐阜県恵那市の生れ、苦学して大学を卒業し、東京會舘の支配人までのぼります。戦前「馬酔木」「寒雷」などに投句、戦後は「春燈」に創刊から参加し、後に主宰となります。俳人久保田万太郎に関する研究で有名です。
(出典:阿部誠文著「輝ける俳人たち」巴書林、1996年刊)
投稿者 m-staff : 2005年06月30日 07:41
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