[2005年07月28日]

俳句(2005-07-28)

身もあらず鶏の砂あぶ草いきれ

富田木歩(1897~1923)

草いきれが夏の季語。
炎天下に、夏草がぼうぼうと生い茂った道や草原を行くと、凄まじい熱気に当てられて、そこにうずくまりたくなるようなときがあります。
この句は、草いきれのなかで、鶏があまりの暑さに、身もよもなく砂浴びをしているのを、身体の不自由な作者がじっと目を凝らして見ている情景が浮かんできます。
とみた・もっぽは、東京向島の生れ、幼時に大病で歩行困難になり、学校に通えず、ひとりで勉強をしました。俳句は17歳からはじめ、「ホトトギス」に投句し、原 石鼎の指導を受けました。母と二人の貧乏生活の中から珠玉のような作品を残し、関東大震災に遭遇し、26歳の生を終えました。気になる境涯作家の一人です。
(出典:「新歳時記」河出文庫、1989年刊)

投稿者 m-staff : 2005年07月28日 07:19

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