[2005年12月11日]

俳句(2005-12-11)

水洟や鼻の先だけ暮れ残る

芥川龍之介(1892〜1927)

水洟(みずばな)が冬の季語。鼻水も季語です。
この句には、数々の因縁があります。
1927(昭和2)年7月24日午前、同居していた叔母に後で医師に渡すようにと短冊に書かれていました。その後、龍之介は服毒し果てます。これにより辞世の句とする説もありますが、実際には前に作られた句で、このときに思い出したようです。
水洟がしきりに落ちてくる、色々考え込んでいるうちに日が暮れてきた、自分の鼻先だけが冷たく暮れ残っている感じがあったというものです。漱石によって短編「鼻」により世に出た龍之介が、死に臨んで意識したのは自分の鼻であったというのは興味深いものがあります。前書きには、「自嘲」とありました。
・作者あくたがわ・りゅうのすけの紹介は、6月17日を参照。
(出典:「新歳時記」河出文庫、1989年刊)

投稿者 m-staff : 2005年12月11日 08:17

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