[2006年02月20日]

俳句(2006-02-20)

水温むとも動くものなかるべし

加藤楸邨(1905〜93)

水温むが春の季語。
春になってしばらくすると、川や池や海などの暮らしに関わっている水が、温まったように感じます。水が温むと魚が動き出し、水がきらきら輝きを始めます。
この句は、隠岐紀行をまとめた句集「雪後の天」に所収されています。
作者が隠岐の旅に出かけたのは、三月でした。都会では、春でも隠岐の三月は厳しい寒さが続いていました。この句は道端の池を詠んだようですが、池の水は春のぬくもりを感じさせてはいますが、水面を覗き込んでもまだ生物は池の底に潜んでいて姿を見せてはいません。春を期待して島に渡った作者にとって、それを裏切られた「なかるべし」という言葉に寂しさが伝わってきます。
作者かとう・しゅうそんの紹介は、2005年1月22日を参照。
(出典:「新版・俳句歳時記」雄山閣、2003年刊)

投稿者 m-staff : 2006年02月20日 07:24

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