[2008年03月09日]

あけし木戸閉めておぼろにもどしけり

久保田万太郎(1889~1963)

おぼろ(朧)が春の季語。草朧、影朧、鐘朧も同意の季語です。
ちょっとでも暖かい日は、富士山がぼんやりと朧に見えます。
朧は、はっきりしなくてほのかで、ぼんやりした様子をいいます。物事があいまいにぼんやりとしているのはいいものですね。
庭園や通路の入り口にある屋根のない開き戸の門を木戸といいますが、その木戸の開いていたのを閉めたというただそれだけのことを「おぼろ」にかけて詠っています。
これが俳句という見事な演出に新派の芝居を見るようです。日本人的といえば、このような情景に打たれてしまいます。切れ字の「けり」が潔く効果的です。
作者くぼた・まんたろうの紹介は、2005年1月6日を参照。
(出典:山本健吉「句歌歳時記」、新潮社、1986年刊)

投稿者 m-staff : 2008年03月09日 06:21

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