[2008年04月11日]

花冷や眼薬をさす夕ごころ

横光利一(1898~1947)

花冷(はなびえ)が春の季語。花の冷えも同意の季語です。
櫻の咲くころは、天気が変わりやすく、不意に寒くなるときがあります。この傾向は全国的で、とくに京都の花冷えは有名です。華やかで陽気な季節にのおそってくる意外な現象を花冷えはよく表しています。
この句は、夕暮れ時に入った喫茶店などでものを書いたり、調べ物をして、一日の終わることへの安心感から目薬を差している作者の姿が見えてくるようです。これを花冷えという季語がぴったりに浮かんできます。
作者よこみつ・りいちは、福島県東山温泉生れ、父が土木技師であった関係から各地を転々とします。川端康成とともに新感覚派運動を展開し、ついで新心理主義の文学に移行しました。代表作は、「日輪」「上海」「機械」「旅愁」などです。戦前戦中昭和を経て、東洋と西洋、伝統と科学など根本的な問題に焦点を当てた作品で知られています。
(出典:「日本大歳時記」講談社、1982年刊)

投稿者 m-staff : 2008年04月11日 06:13

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