[2008年06月13日]

寝る妹に衣うちかけぬ花あやめ

富田木歩(1897~1923)

花あやめが夏の季語。あやめ、白あやめ、くるまあやめ、ちゃぼあやめなども同意の季語です。
作者の境涯を知れば知るほどよくぞこのような俳句を残してくれたと心打たれます。
2歳のときに病により下肢の自由を失い、なおかつ貧困のために学校へも行けずに、いろはがるたなどで字を習い、以後独学で俳句を作りました。
聾唖者の弟も、身売りした妹(いもうと)も肺を病んでなくなりました。この句の寝る妹(いも)はその妹です。そっと妹に衣(きぬ)をかけてやる兄の気持ちはいかばかりでしょうか。湿ったところの多いこの時期に乾いたところで咲く花あやめがまことに効いていますね。
作者とみた・もっぽの紹介は、2005年7月28日を参照。
(出典:「日本大歳時記」講談社、1982年刊)

投稿者 m-staff : 2008年06月13日 05:13

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