[2010年03月20日]

あだし野の陽炎われに蹤きまとふ

稲垣きくの(1906~87)

陽炎(かげろう)が春の季語。糸遊、遊子、野馬、かぎろひなども同意の季語です。
あだし野は、「徒野、仇野、化野」などと表記されます。京都の嵯峨の奥、小倉山のふもとの野原のことをいい、「あだし」にかけて、はかない物事の象徴になりました。転じて、墓場または火葬場を意味します。何か物の怪が出そうです。
この句は、あだし野の陽炎がわたしに蹤(つ)きまとってきている、それはあたかも作者をおびき寄せようとしている、といささか怖い句となっています。お彼岸にうってつけかもしれませんね。
作者いながき・きくのの紹介は、2006年6月8日を参照。
(出典:角川書店編「合本俳句歳時記第三版」、2003年刊

投稿者 m-staff : 2010年03月20日 09:32

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