[2012年05月18日]

ひそひそと竹のささやく五月かな

戸板康二(1915~93)

五月が夏の季語。五月来る、五月尽、聖五月も同意の季語です。
竹は、筍を生むために養分をとられて春先になると葉が黄ばみはじめます。これを竹の秋といい、初夏になると竹落葉になってゆきます。ときを同じくして、筍は若竹へと成長して交代のときを迎えます。
この句のように、ひそひそとささやいているのは、若竹の葉と散って行く葉の会話をしているようにも見えますね。
作者といた・やすじは、東京芝の生まれ、大学在学中に折口信夫の影響を受けました。演劇雑誌の編集者を経て独立し、歌舞伎評を一般の人にもわかるように解説。随筆、小説を多く著しました。俳句は1939(昭和14)年ごろからはじめ文人会の常連でした。
(出典:村上 護著「今朝の一句」講談社、1995年刊)
・11時から板橋区蓮根の舟渡斎場で京谷秀夫さんの告別式が行われます。朝早くから出発せねば。

投稿者 m-staff : 2012年05月18日 06:57

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