[2013年04月22日]

甕ひとつ朧の国に居りにけり

村越化石

朧(おぼろ)が春の季語。草朧、鐘朧、影朧も同意の季語です。
もう何年も読書は図書館の本を読むのが生活のリズムになっています。およそ2週間に8冊のペースを保っています。このところ読んで感動したのは高山文彦著「火花―北条民雄の生涯」、発行は1999年、飛鳥新社。この本は、かつて不治の病と恐れられたハンセン氏病を病みながら、文学の道を志し、数々の傑作を残して他界した天才作家の伝記です。
北条民雄は、1914(大正3)年に生まれ、1937(昭和12)年に23歳の若さで亡くなりました。その命の叫びは、「定本 北条民雄全集」上下巻(平成8年9月)創元ライブラリで読むことが出来ます。作家・川端康成がこの作家を世に出すために尽力しています。
この句は、昭和57年6月刊の第三句集「端座」に所収されています。この句集は、同年に飯田蛇笏賞を受賞しました。
村越化石は、ハンセン氏病のため長年にわたり、世間とは隔絶された世界に住まされて、それを「甕(かめ)と称して、その中に「朧の国」と言いつつ明るく生きている様子を表現しています。どれほどの無念がその底にあるのか凡人には測り知れないものがありますね。現在、ハンセン氏病は良い薬が出来て、結核よりも軽い伝病になっています。
作者むらこし・かせきの紹介は、2005年3月5日を参照。
(出典:阿部誠文著「輝ける俳人たち」邑書林、1996年刊)
・このところの天気は寒いですね。北海道や東北では雪が降ったりしています。今日は富士山が綺麗に空に映えています。

投稿者 m-staff : 2013年04月22日 09:44

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