[2013年08月04日]

香水やまぬがれがたく老けたまひ

後藤夜半(1895~1976)

香水が夏の季語。香水瓶、オーデコロンも同意の季語です。
香水は、夏の女性(この頃は男性も)の必需品ですが、その香りと使っている女性とを美しくも皮肉にもとらえています。そのような両面から夏の句材によく使われますね。
ジャスミン、ヘリオトロープ、ヴァイオレット、ローズ、リリィなど、香りのよい植物の、花や葉、枝、種子から香料を取って、それをアルコールに溶かしたものです。むかし、東京日本橋のある一角に香料問屋がかたまって商売をしていました。そこを通るといつも香水の匂いがしていました。
作者は、大阪の市井の生活に徹して生きた俳人で、大阪文化の厚みの在る力を句に表現しました。この句は、おかしがたい年月の残酷さを表現しています。そこはかとなく匂う香水に、久しぶりに知人に会うと懐かしさがいっぱいになりながらも、相手が年を取った足跡を顔に見てしまいました。
この句は、1978(昭和53)年刊行の句集「底紅」に所収されています。
作者ごとう・やはんの紹介は、2005年9月6日を参照。
(出典:大岡 信著「新 折々のうた2」岩波新書、1995年刊)
・昨日の「田中先生を偲ぶ2013夏の会」は、新しい参加者を得て、盛会でした。それにしても、毎年暑い時に亡くなられたものと溜息をついています。

投稿者 m-staff : 2013年08月04日 09:56

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