[2013年11月10日]

下谷一寺浅草一寺冬霞

山口青邨(1892~1988)

冬霞(ふゆがすみ)が冬の季語。冬の霞、寒霞も同意の季語です。
霞は、本来は春の季語です。しかし、風の無い穏やかな冬の日にもたなびいて現れます。実際は靄(もや)といったほうが適切ですが、冬靄よりも冬霞のほうが言葉のイメージから固まるというよりは、横に広がっている印象を受けます。
この句の前書きには、「上野の山にて」とあります。戦後すぐの上野の高台から周辺を見下ろしていますね。冬霞の中でひときわ印象的に、下谷(したや)に寺がひとつ、浅草に寺がひとつ美しく見えます。漢字ばかりの句で空間の大きさが伝わってきますね。今では望むべくもない光景です。
この句は、1946(昭和21)年刊行の「露団々」に所収されています。
同じ作者に次の句があります。
松島の人住む島の冬がすみ  青邨
東日本大震災で多大な被害を受けた地域ですね。復興は成ったのかしら、心配です。
作者やまぐち・せいそんの紹介は、2005年3月13日を参照。
(出典:大岡 信著「第六 折々のうた」、朝日新聞、1987年刊)
・フィリピンのレイテ島では、台風30号の影響で1,200人死亡の報道、まだまだ詳細がわかりません。被害の拡大が心配です。

投稿者 m-staff : 2013年11月10日 09:51

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