[2014年05月09日]

卯の花に葦毛の馬の夜明哉

森川許六(1656〜1715)

卯の花が夏の季語。空木(うつぎ)の花、花卯木、山卯木、卯の花垣も同意の季語です。
道端に五枚の白い花弁をもった小さな卯の花が固まって雪のように咲いている風景は何とも言われぬ風情があります。
佐佐木信綱の歌:
卯の花の匂う垣根に時鳥早も来鳴きて忍び音もらす夏は来ぬ
ユキノシタ科の落葉低木。この花は稲作との結びつきが深く、卯の花が長く咲いている年は豊作と言われています。
この句の「葦毛」は、白い毛に黒や濃い褐色の差し毛のある馬で、道沿いに咲く卯の花と白い鮮やかな白との取り合わせが面白く。しかも初夏の夜明けです。まことに気分の良い気持ちが横溢していますね。
この句は句集「炭俵」に所収されています。
今日はアイスクリームの日。
作者もりかわ・きょろくは、滋賀県彦根の生れ、三百石取りの彦根藩士。藩主のお供で江戸に在勤中、深川の庵に芭蕉を訪ねて師事します。俳号の許六は、絵・書などに通じていたことから来たもの。芭蕉歳晩年の弟子で多才な論客でした。
(出典:大岡 信著「第六 折々のうた」、岩波新書、1987年刊)
・4月30日に亡くなった作家の渡辺淳一さんと1966(昭和41)年に神田駿河台下の河出書房文芸編集部で会ったことがありました。寡黙で長身、優しい目をしていました。その当時、渡辺さんは純文学の書き手として嘱目されていて、後年のような恋愛ものをあれほど書く人とは思いませんでした。合掌。

投稿者 m-staff : 2014年05月09日 09:47

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