[2014年07月06日]

戦争にたかる無数の蠅しづか

三橋敏雄(1920〜2001)

蝿が夏の季語。家蝿、五月蝿(さばえ)、姫家蝿、縞蝿、金蝿、銀蝿なども同意の季語です。
蝿は種類がきわめて多く、人間の生活に紛れ込んで嫌われている虫です。成虫で冬を越して春に繁殖を始め、夏がもっとも盛んになり、多く発生します。最近は、殺虫剤の普及により、都会では蝿の姿を見ることがなくなりましたね。
蝿は、何にでもたかりますが、この句の蠅は何と「戦争」にたかっていると作者は見ました。しかもその数は数えきれない「無数」です。それらは音も立てずに静かというのですから無気味ですね。このような不安な現代社会の様相を見事に浮き彫りにした傑作です。
この句を取り上げたのは、平和憲法第9条を無理に歪曲して、「集団的自衛権」で揺れる現下の政治状況を言い当てていると感じたことにもよります。この句は、1986(昭和61)年刊行の句集「何時迄草」に所収されています。
今日は、ゼロ戦の日。1939年の今日、試作機が初めて飛びました。映画「風立ちぬ」で設計者の堀越二郎が再浮上しましたね。
作者みつはし・としおの紹介は、2005年1月21日を参照。
(出典:大岡 信著「第七 折々のうた」、岩波新書、1989年刊)
・W杯サッカー準々決勝で、アルゼンチンはベルギーに順当勝ち、オランダはコスタリカに大苦戦、最後のPK戦用にGKを入れ替えて勝ち切ったオランダのファンハール監督の采配に感服。次の準決勝は9日、10日の朝5時開始。

投稿者 m-staff : 2014年07月06日 09:17

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