[2015年02月12日]

春の日やあの世この世と馬車を駆り

中村苑子(1913〜2001)

春の日が春の季語。春日(はるび、しゅんじつ)、春日和、春陽、春日影、春日向、春の朝日、春の夕日、春の入日なども同意の季語です。
この季語は、春の太陽もいい、春の一日も言います。もともと、「日」は太陽を意味していましたが、太陽が出てから没するまでを「一日(ひとひ)」というようになり、日の出ている明るい昼間を「日」と呼ぶようになってからです。うららかであたたかいのが春の日の姿ですね。
俳句ではこの句のように、通常の写生や花鳥諷詠の方法では扱うことの少ない非現実の世界にもしきりに出入りしています。しかしながら、「あの世」は非現実ですが、人の心はそのような境界へも自在に出入りする不思議な存在でもありますね。作者は、馬車を駆ってしきりに現世と死後の世界を往復しています。春の日がそのような気持ちにさせるようですね。
この句は、1975(昭和50)年刊行の句集「水妖詞館」に所収されています。
作者なかむら・そのこの紹介は、2005年3月25日を参照。
(出典:大岡 信著「第五 折々のうた」、岩波新書、1986年刊)
・YouTubeによるヨハン・セバスティアン・バッハの全曲視聴もようやく先が見えてきました。何しろカンタータだけで200曲以上もあります。教会の中にいるような気分です。

投稿者 m-staff : 2015年02月12日 09:19

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