[2015年03月09日]

すこしづつ死す大脳のおぼろかな

能村登四郎(1911〜2001)

おぼろ(朧)が春の季語。朧夜、草朧、谷朧、燈朧、鐘朧、庭朧、海朧、岩朧、家朧、朧めくなど多数の同意の季語があります。
朧は、これからの季節に良く現れる気象現象です。低気圧が近づくにしたがって、春の月などが薄い雲におおわれて、万物が霞む様子を言います。しかしながらこれでは味気ないので、俳句ではもっと情緒的に五感全体の総てに訴えかけます。
この句は、始めどっきりし、しばらくしてなるほどそうかとうなずけてしまうから不思議ですね。人間の脳は、25歳ぐらいまでに生育して、その後は少しずつ滅んでゆくと言われています。使えば使うほど脳は良くなると言いますが、使いすぎて許容量を超えれば壊れてしまいます。
同じ作者に次の句があります。
ひとり湯のひとりに濁る朧かな  登四郎
連れ合いを亡くされた時の作品。
作者のむら・としろうの紹介は、2006年8月20日を参照。
(出典:多田道太郎著「おひるね歳時記」、筑摩書房、1993年刊)
・3月11日の東日本大震災4周年目へ向けて、さまざまなメディアは「決して忘れてはならない」と報道しています。その通りですね。しかし、一番忘れっぽいのもメディアです。

投稿者 m-staff : 2015年03月09日 09:59

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