[2016年09月17日]

鉦叩たたけど無明のがれ得ず

成瀬櫻桃子(1925~2004)

鉦叩(かねたたき)が秋の季語。
こおろぎの仲間で体長は1センチほど。灰褐色。こおろぎのような後肢がなく、羽も退化しています。鳴き声は、チン、チン、チンと澄んだきれいな音で、続けて打ちます。その鳴き方が印象的でほとんど姿を見せない虫ですね。
この句の「無明」とは、仏教用語で梵語。真理に暗いこと。一切の迷妄、煩悩の根源を言います。鉦叩が無明から逃れようとして鳴き続けることはありません。とすると作者が背負った運命の無明を指しているに違いありません。
作者は、あまり家族運に恵まれませんでした。父母の離婚、娘の病気など俳句で多く詠んでいます。
作者なるせ・おうとうしの紹介は、2005年6月30日を参照。
(出典:阿部誠文著「輝ける俳人たち」、邑書林、1996年刊)
・今日は横浜で句会、石川町まで出かけます。天気は何とか持ちそうです。

投稿者 m-staff : 2016年09月17日 08:55

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