[2017年03月02日]

筐から筐をとり出すあそび鳥雲に

折笠美秋(1934~90)

鳥雲にが春の季語。鳥雲に入る、雲に入る鳥、雲に鳥なども同意の季語です。
秋になって渡ってきた鳥は、春になるとシベリアなどの北方へ帰って行きます。そのような鳥の群れがはるかな雲の中に消えてゆくことがこの季語となりました。春、帰って行く大型の鳥は、白鳥、鶴、雁、鴨などがあります。つぐみ、じょうびたき、まひわ、れんじゃくなどの小鳥も大群で秋になって渡ってきますが、帰るときは小鳥なのでその姿を認めることは難しくなりますね。
この句は、筐(はこ)を開けると、もとの筐よりも少し小さい筐が入っていて、それを繰り返す面白い遊びを指しています。ロシア人形のマトリョーシカがそれにあたります。同型のものがどんどん小さくなるのですから、子供心に消失のはかなさを魅力的に伝える働きをします。それは渡り鳥が雲中へ消えてゆくことと重なっているようだ、と詠っています。
作者おりがさ・びしゅうの紹介は、2012年1月18日を参照。
(出典:清水哲男著「増殖する俳句歳時記」、ナナ・コーポレート・コ
ミュニケーション、2002年刊)
・年を取れば、それまでに関わりのあった人たちの「忌日」がポケットに一杯たまってきたような感覚になるときがありますね。

投稿者 m-staff : 2017年03月02日 10:06

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