[2018年03月02日]

長生きの朧のなかの眼玉かな

金子兜太(1919~2018)

朧(おぼろ)が春の季語。草朧、岩朧、谷朧、灯朧、錦朧、村朧、山朧、町朧、朧雲なども同意の季語です。
2月20日に98歳で亡くなった金子兜太さんの句を取り上げます。
金子兜太さんには、一度お目にかかったことがありました。ある会合で受付を担当していたときに、開始時間より遅れて来て、いきなり熨斗袋はありませんか、と尋ねられました。事情を聴くと祝金を包む袋を忘れてしまったということ。慌てて用意したところ、礼もそこそこに会場へ走って行かれました。その時の特徴のある大きな眼玉を忘れることはできません。
兜太さんは、戦後俳句の旗振り役として、俳句を魂の自由な歌ととらえ、平和の大切さを終生訴え続けました。
この句の「朧」は、春の夜は水蒸気を含んでいるので、離れてみると物の形がもうろうとして霞んで見えます。夜の霞の現象ですね。朧を通して見るもの、聞くものは柔らく感じます。作者は長生きが朧になり、しかし眼玉だけが光っている、と見ずからを見つめていますね。
作者かねこ・とうたの紹介は、2005年1月27日を参照。
(出典:平井照敏編「現代の俳句」、講談社、1993年刊)
・関東はようやく風も収まりましたが、北海道の日本海側はこれから数年に一度の猛吹雪とか。視界が真っ白になって何も見えなくなる「ホワイトアウト」の状態になります。外出を控えて通り過ぎるまでの我慢ですね。

投稿者 m-staff : 2018年03月02日 09:35

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