[2018年09月10日]

一湾の潮しづもるきりぎりす

山口誓子(1901~94)

きりぎりす(螽斯)が秋の季語。機織、機織女、ぎすも同意の季語です。
姿はイナゴに似ていてイナゴより大きく4センチほど。褐色または緑色。暑い昼下がりの草むらの中で、ギュース・チョン、しばらく間をおいてギュース・チョンと鳴いていますね。その声が機を打つ音に似ているため、古くから機織、機織女と呼ばれました。
この句では、一つの湾全体の潮が、みなぎっているままに動きを潜めてしまったような夕暮れのひと時。吸い込まれるようにそれを見つめている作者の耳に、きりぎりすだけが無心な鳴き声を響かせている、と詠っています。寂寥感が風景に染みわたるようですね。
この句は1925(昭和30)年刊行の句集「和服」に所収されています。
同じ作者に次の句があります。
きりぎりすながき白昼啼き翳る
これもまた、療養している作者の気持ちが込められています。
作者やまぐち・せいしの紹介は、2005年1月24日を参照。
(出典:大岡 信著「第五 折々のうた」、岩波新書、1986年刊)
・テニスの4大大会、全米オープンの女子シングルスで大坂なおみ選手が優勝。台風と地震で暗い日本に明るいニュースが飛び込んできました。マスメディアは、大坂選手の話題で当分賑やかになりますね。男子はジョコビッチが優勝。錦織はベスト4止まり。

投稿者 m-staff : 2018年09月10日 09:40

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