[2019年01月17日]

外套のなかの生ま身が水をのむ

桂 信子(1914~2004)

外套(がいとう)が冬の季語。オーバーも同意の季語です。
今日は、阪神震災忌。1995(平成7)年1月17日、午前5時46分にM7.2の大地震発生。震源地は淡路島から神戸市にかけての地域。死者6434人。哀悼の意を表します。
そこで選んだのが掲句。外套という言葉は、明治の17,18年ごろ、羅紗製のトンビ、引き回し、二重廻しなどが流行したときに、その総称として使われたと言われています。今は防寒用に洋服の上に着ますが、時代とともに変化していますね。以前は、厚手のウール、毛皮などを用い、ゆったりとした長いものが用いられていました。現代では暖房が進歩したために、薄く短いものになっています。
この句は、外套を着た人が生身の体で仕方なく水を飲むと詠っています。どのような切迫した状況なのでしょうね。
作者かつら・のぶこの紹介は、2005年6月4日を参照。
(出典:倉橋羊村著「私説現代俳人像」(上)(東京四季出版、1998年刊)
・阪神・淡路大震災から24年。時が過ぎるとともに被災した人たちの高齢化が進んで、震災を知らない世代が増えてゆくなかで、当時の記憶や教訓を継承して、これから起こるであろう南海トラフの巨大地震への備えをどうするかが課題となっています。

投稿者 m-staff : 2019年01月17日 10:04

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