[2020年05月20日]

麦秋の中なるが悲し聖廃墟

水原秋櫻子(1892~1981)

麦秋が夏の季語。麦の秋、麦秋(むぎあき)も同意の季語です。
麦の穂は、5月から6月にかけて実り、黄熟します。青空のもと、見渡す限り黄金色に輝く様子は見事なものですね。
この句の前書きには、1952(昭和27)年、「浦上天主堂」とあります。原爆投下で焼け野原となった長崎、戦後7年経って、なお崩れたままの天主堂を前に、作者は深い悲しみに沈みます。褐色に熟して実りの時を迎えた麦畑、その美しく輝く光景が悲しみを増幅させていますね。
今日は、小満(しょうまん)。24節気の一つで、陽気盛んにして万物しだいに長じて満るという意味。
作者みずはら・しゅうおうしの紹介は、2005年1月17日を参照。
(出典:石 寒太編「よくわかる俳句歳時記」、ナツメ社、2010年刊)
・スーパーサイクロン「アンパン」が20日午後にもインド、バングラデシュに接近し、上陸します。現地では、数百万人が避難の対象となっていて、暴風雨による被害と新型コロナウイルスの感染が拡大する懸念が強まっており、ダブルパンチの状態です。

投稿者 m-staff : 2020年05月20日 09:25

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