[2021年03月15日]

より所なくて遠しや野の霞

加舎白雄(1738~91)

野の霞が春の季語。霞、遠霞、棚霞、夕霞、朝霞、霞立つなども同意の季語です。
空気中に広がる微細な水滴、塵が、空や遠景をぼんやりさせる現象、また、ある高さに漂う現象をいいます。実体は、霧、雲、靄と同じですが、感覚的な区別があります。霞は、遠くかすかなもの、あたりの風景と混然と溶け合っていますね。霞は特に春に見られます。
この句の「より所」は、たよりとする所、寄りすがる所の意味。霞に包まれた野は、よりところもなく漂っている、と詠っています。まことにその通りの情景ですね。作者は俗な世界を離れ、自然な趣を重んじ、独特で繊細な作風で知られています。
作者かや・しらおの紹介は、2008年9月20日を参照。
(出典:石 寒太編「よくわかる俳句歳時記」、ナツメ社、2010年刊)
・14日午後、気象庁は千代田区の靖国神社にある染井吉野の標本木が開花したと発表。1953年の統計開始以来、東京では昨年と並んで最も早い記録、平年と比べると12日早く、1週間程度で満開になると予想しています。昨日今日と富士山がくっきりと見えます。

投稿者 m-staff : 2021年03月15日 09:46

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