[2021年09月25日]

病む妻やとどこほる雲鬼すすき

太宰 治(1909~48)

鬼すすき(芒)が秋の季語。薄、尾花、花芒、芒野、糸芒なども同意の季語です。
イネ科の多年草。毎年、宿根から新芽を生じ、高さは2メートルにも達します。秋に、花穂が黄褐色になります。秋の七草の一つ。
この句では、家事全般を仕切っている連れ合いに寝られて、ほとほと困っている作者の様子がうかがわれます。深い吐息をつきながら、病状を心配して付きそう者の様子が見られます。やがて作者の視線は室外に寄せられます。空はどんよりと曇り、動かぬ雲をとらえ視線がとどまり、その下のたくましい芒に移動し、その揺れの姿に心がざわめき、再び病人に注がれます。鬼すすきの鬼の語感が働き、鬼がわだかまって回復させないとまで思い至ります。
作者だざい・おさむの紹介は、2013年10月11日を参照。
(出典:関森勝夫著「文人たちの句境」、中公新書、1991年刊)
・今日は久しぶりの外出、墓参り。相模原市橋本の蓮乗院までお出かけ。そのあとは調布の老人ホームの姉のところに寄ります。コロナ禍のため15分と接見になります。

投稿者 m-staff : 2021年09月25日 08:35

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