[2021年10月30日]

一つ家に故人とふたり秋の暮

中村苑子(1913~2001)

秋の暮が秋の季語。秋の夕暮れ、秋の夕べも同意の季語です。
この季語は、秋の暮れ方と受け取ったり、季節の終りと受け取ったり、と二義性を持っていますが、今では前者の意味で使われることが多くなりました。「秋は夕暮れ」といったのは「枕草子」の清少納言。
「三夕」として知られているのは、寂蓮法師の「さびしさは其の色としもなかりけりまき立つ山の秋の夕暮」、西行の「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮」、藤原定家の「み渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕ぐれ」が知られ、この言葉の季節感をよく表していますね。
この句では、主人を亡くして独り身となった作者の哀感が伝わってきます。
作者なかむら・そのこの紹介は、2005年3月25日を参照。
(出典:月刊「俳句」、角川学芸出版、1996年10月号より)
・昨日で最終回を迎えたNHKの朝ドラ「おかえりモネ」は、久しぶりにいいドラマを見たという印象です。まず、シナリオが東日本大震災が何であったかをしっかりと把握していること、出演者がいずれもよい演技であったこと、東北の山と海の美しさに見惚れていました。

投稿者 m-staff : 2021年10月30日 10:06

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