[2021年12月10日]
わが影を遠き枯野に置き忘れ
野見山朱鳥(1917~70)
枯野が冬の季語。枯野原、枯原、枯野道、枯野宿、枯野人、朽野(くだらの)なども同意の季語です。
虫の音はとうに絶えて、草木が枯はてて、一面に寂寞とした野原をいいます。山裾の枯野や、海辺の枯野、人の往来する枯野など、それぞれに異なった情趣がありますね。芭蕉の「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」と詠んで以来、俳句を作るものにとって、特別な意味合いを持つ季語になったといってよいと思われます。
この句は詩情にあふれて、表現されています。自分の影を遠い枯野に置き忘れてしまった、と詠っています。作者は心象俳句の独自な作風で知られています。
同じ作者に次の句があります。
つひに吾も枯野の遠き樹となるか 朱鳥
しみじみとした切ない気持ちが表れていますね。
作者のみやま・あすかの紹介は、2005年4月19日を参照。
(出典:角川春樹編「合本 現代俳句歳時記」、角川春樹事務所、2004年刊)
・アメリカのバイデン大統領が日本やヨーロッパなど110の国や地域に呼びかけて「民主主義サミット」を始めました。この開催の意図は中国やロシアに対抗しての措置。わざわざ世界を二つに分断するのはどうかと思いますが、それだけアメリカに危機感があるのでしょう。そのアメリカでさえ自国に人種差別の問題を深く抱えています。とりあえず、各国で大いに話し合えば少しは良くなるのかもしれませんね。
投稿者 m-staff : 2021年12月10日 09:11
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