[2022年03月14日]

一人静二人静も裏山に

長谷川かな女(1887~1969)

一人静が春の季語。吉野静、眉掃草も同意の季語です。
この花の見どころは、1本の花穂を4枚葉が包み込んでいる様子がしおらしく見えますね。センリョウ科の多年草。多くは山林に群落を成しています。3月から4月にかけて、対生する4枚の葉の真ん中から茎を立て、その頂に白くて小さなブラシのような形をした花穂を1本つけます。花には花弁がなく、白く見えるのは雄しべです。独特の花の形から、源義経の愛妾静御前にたとえた名前です。
この句では、裏山に一人静とそれに二人静も咲いている、と詠っています。二人静は一人静の仲間ですが、4枚の葉を2,3層に対生しています。花穂は2,3本で」花は白く見えます。目立たぬ花ですが、その姿が謡曲「二人静」の静かの霊と霊に憑かれた女が二人で舞った様子を連想させるものとしてこの名前が付きました。
作者はせがわ・かなじょの紹介は、2005年7月30日を参照。
(出典:平井照敏編「新歳時記」、河出書房新社、1989年刊)

投稿者 m-staff : 2022年03月14日 10:53

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