2012年05月23日

桐の花いちど生まれし前後を見る

加藤郁乎(1929~2012)

桐の花が夏の季語。花桐、桐咲く、桐匂ふ、桐散るも同意の季語です。
桐は、葉の出る前の枝先に淡い紫色のかぐわしい花をたくさんつけます。高さ10メートルほどの枝先に花が咲くので、やや離れたところから花が良く見えて情緒があります。また、地上に散って落ちた花にも風情がありますね。木を切るとかえって成長が早くなると言うので「キリ」と名づけられました。材は、たんす、琴、下駄など広く利用されています。
この句は、桐のけぶったような紫の花の高雅で心に何か伝えてくる気持ちをよくつかんでいます。桐の花は生れて周りを見回してその生命の不思議さを考えているようですね。
作者は詩人、この16日に亡くなりました。合掌。
作者かとう・いくや紹介は、2005年8月14日を参照。
(出典:村上 護著「今朝の一句」講談社、1995年刊)
・素晴しい天気です。富士山がくっきり、相模湾がはっきり。昨日スカイツリーに上った皆さんは悔しがっていることでしょうね。

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2012年05月22日

薫風や本を売りたる銭のかさ

内田百閒(1889~1971)

薫風が夏の季語。風薫る、薫る風、風の香も同意の季語です。
水の上や青葉、若葉を渡ってくる風の匂うような感じを「風薫る」といいます。青嵐よりもやわらかく爽やかに感じます。
掲句の前書きには「辞職先生ニ与フ」とありますが、何のことは無い百閒が1934(昭和9)年に法政大学を辞職したことを言っています。けれども他人事のように銭にこだわるそぶりを見せるのに俳句味がありますね。
作者の気質は相当なへそ曲がりですから諧謔性があって面白い表現になっています。
作者うちだ・ひゃっけん紹介は、2012年4月18日を参照。
(出典:阿部誠文著「輝ける俳人たち」邑書林、1996年刊)
・金環食、東京スカイツリー開業とビッグイベントが続きますね。今日はイチローとダルビッシュの第2ラウンド、楽しみです。

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2012年05月21日

食卓の鉄砲百合は素つぽをむく

加倉井秋を(1909~88)

鉄砲百合が夏の季語。百合、山百合、白百合、鬼百合、姫百合、笹百合、鹿の子百合など多数の同意の季語があります。
百合は姿が美しいのですが、焦げたようなあの強い匂いが好きではありません。
百合科の多年草。野生種、園芸種ともに数多くの種類があり、総称して百合と呼んでいます。花期は5月から8月にかけて。古くから百合といえば山百合を指し、野性の百合を代表しています。百合は世界各地に分布していますが、日本は百合王国として有名です。
食卓に白く香りの高い鉄砲百合が活けてあります。作者はその姿が嫌いでそっぽを向いています。
今日は、金環日食、小満。
作者かくらい・あきお紹介は、2006年1月13日を参照。
(出典:石 寒太編「よくわかる俳句歳時記」ナツメ社、2010年刊)
・金環日食は雲で見られませんでした。残念。次回はもうありませんね。

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