2019年02月17日

春昼や魔法の利かぬ魔法壜

安住 敦(1907~88)

春昼が春の季語。春の昼、春の昼間、春真昼も同意の季語です。
この季語は、のんびりとしたのどかな眠気を誘うような春の昼のこと。
この句の、「魔法壜」という言葉はこのごろあんまり聞かれなくなりましたね。名前ほどに不思議な働きがしなくなったからでしょうか。ですから「魔法の利(き)かぬ魔法壜」を誰も納得したからかもしれません。
作者がこの言葉に思いを寄せたのは、春昼の気分が、冬に比べて充実したものに感じられて、より偉大な魔法をそこに見出したからでしょうか。冬ならば少し冷めても湯のありがたさが有難かったでしょうが、春昼となっては。魔法壜の効用も無効になったということかもしれません。
作者あずみ・あつしの紹介は、2005年2月28日を参照。
(出典:「日本大歳時記」、講談社、1981年刊)
・45歳のイチロー選手が19年目のキャンプに入りました。去年は15試合でヒット9本打率2割5厘。今年は3月20日から東京で行われる開幕2連戦で出場予定です。今後の調整が順調であるよう願っています。

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2019年02月16日

きさらぎのひとを迎へし野のひかり

八幡城太郎(1912~85)

きさらぎ(如月)が春の季語。衣更着(きさらぎ)、梅見月、初花月、雪解月なども同意の季語です。
きさらぎは、陰暦2月のこと。陽暦の2月半ば過ぎから3月の末に当たり、春のさなかです。衣更着の字を当てるのは、寒さが戻って、衣を更に着るからで、きぬさらぎをきさらぎと誤ったことによります。従って、余寒のあることを念頭に使います。草が生えはじめ、木の芽が出てくる月のこと。本意としては、梅見とか初花の季節ですが、なお寒さは続きますね。
この句では、如月に入って、ようやく寒さのピークを過ぎて、野に光が戻り、大事な人がやってきたと詠っています。
作者やはた・じょうたろうの紹介は、2007年12月14日を参照。
(出典:平井照敏著「新歳時記」、河出書房新社、1989年刊)
・昨日の横須賀は春の雪。淡雪が午前中に降りました。寒かったですね。今朝は、その反動でしょうか、明るく晴れています。

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2019年02月15日

涅槃会のとりけものらの裾に侍す

上田五千石(1933~97)

涅槃会(ねはんえ)が春の季語。涅槃、仏忌、お涅槃、涅槃忌、涅槃図、涅槃雪、寝釈迦なども同意の季語です。
釈迦が入滅した日と言われる陰暦2月15日の法要のこと。各々の寺院では、涅槃図を掲げ遺教経(ゆいきょうぎょう)を読誦(どくじゅ)し、遺徳を偲びます。涅槃会は、飛鳥時代に奈良の元興寺(がんこうじ)で始められた、と言われています。涅槃図は、入滅した釈迦の周りで、仏弟子、諸天、鬼神、鳥獣などが嘆き悲しむ様子を描いたものです。仏教行事の代表的なもので、釈迦への崇敬と讃美が宿る法要です。
この句では、涅槃図の中で、鳥獣の裾に侍(じ)して、作者も加わっているように詠っています。
作者うえだ・ごせんごくの紹介は、2005年1月19日を参照。
(出典:「合本 俳句歳時記第三版」角川書店、2003年刊)
・トランプ政権は、「国境の壁」建設に向けて「非常事態宣言」を議会に諮らずに出すことを明らかにしました。これに対して民主党は法的手段で対応することを明言しています。どのような展開になるのか予断を許しませんね。

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2019年02月14日

店しめて余寒の軒の灯が並ぶ

佐藤紅緑(1874~1949)

余寒が春の季語。残る寒さも同意の季語です。
寒が明けてからもなお残っている寒さのこと。「春寒し」「冴返る」などとほぼ同じの季節感を表す季語。しかし、「余寒」は、寒が明けても寒さが残っているという、寒のほうに思いが傾いている季語ですね。この季語は漢詩から得られたもので、この余寒の厳しさ、緩やかさによって、桜の開花時期が大きく左右されます。
この句では、下町の光景を連想します。余寒のころに、商店街では店を早くから閉めて、軒の灯が並んでいる、と詠っています。
しばしの寒さが過ぎるのを待っているようですね。
今日は、バレンタインディー。聖バレンタインの記念日。私には、ドイツ製の義理チョコが一つ。
作者さとう・こうろくの紹介は、2006年12月29日を参照。
(出典:角川春樹著「合本俳句歳時記」、角川春樹事務所、1998年刊)
・白血病と診断された池江璃花子選手は、自身のツイッターで「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はない」と発信。本当に気持ちのしっかりとした女性ですね。完治してまた素晴らしい笑顔を見せてください。

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2019年02月13日

早春や室内楽に枯木なほ

石田波郷(1923~69)

早春が春の季語。春早し、春淡しなども同意の季語です。
立春後、しばらくの間の時候では、もとよりまだ寒さはきびしく、すべてに冬の気配が漂うなかでも、何やら春めいた感じを抱かせてくれます。「春浅し」と同じ季節感ですが、視覚的により澄んだ印象が強い言葉と言えます。雲のたたずまいにはかすかに光を含み、水の響きには明るい響きを感じます。そのうえ、飛ぶ鳥の影にもきらめくようなものをおぼえます。
この句では、春になったばかり頃、室内で弦楽四重奏などを聞いていると、外はまだ冬の様相で、枯木が寒そうに立っている、と詠っています。たしかに春は室内楽が似合いますね。
作者いしだ・はきょうの紹介は、2005年2月13日を参照。
(出典:「日本大歳時記」、講談社、1981年刊)
・昨日は、水泳の池江選手が白血病を公表、また、テニスの大坂なおみ選手がサーシャ・コーチとの契約を解消。2つのビッグニュースで、ほかのニュースがかすんでしまいましたね。

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