2019年09月12日

上行くと下来る雲や秋の空

野沢凡兆(?~1714)

秋の空が秋の季語。秋空、秋天、秋の天なども同意の季語です。
秋の雲は、春の雲のゆったりとした暖かさとも、夏の雲の峰を作る雄大さとも異なっています。秋の空の澄み切った空の気流は激しくて、来る雲、行く雲をしきりに動かしてゆきます。気流が激しいゆえに、秋の空は澄んでいるのかもしれませんね。
この句では、秋天の上層と下層に動く気流の動きがよくとらえられていますね。句風は、印象鮮明で格調高く、平易で簡潔な表現こそが作者の狙ったところでしょうね。
作者のざわ・ぼんちょうの紹介は、2007年4月4日を参照。
(出典:「日本大歳時記」、講談社、1981年刊)
・2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロ事件から18年。犠牲者3000人のうち全体の4割近くに上る1109人はいまだ身元が判明していません。事件をきっかけで始まったアフガニスタンでの軍事作戦は先行き不透明、今後どうなるのでしょうね。

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2019年09月11日

頬杖の指のつめたき夕野分

高柳重信(1923~83)

夕野分が秋の季語。野分、野分晴、野分立つ、野分中、野分後、野分雲なども同意の季語です。
9日朝の台風15号は、三浦半島のうえから千葉へものすごい風と共に駆け抜けてゆきました。
古くは台風という用語は無かったので、草木を吹き抜ける秋の強風を野分と言って、その風の吹くことを「野分立つ」と言いました。この言葉は、船乗りや漁師の観察から生まれた季語とも言えます。今日、台風と言えば雨を伴いますが、野分は風だけですね。
この句では、野分の後の夕べに、天気はからりと晴れて、秋草や垣根の倒れるような哀れな光景とともに、頬杖の指が冷たいと、不思議な清涼感がもたらしている様子がうかがわれます。
今日は、二百二十日。
作者たかやなぎ・しげのぶの紹介は、2005年5月15日を参照。
(出典:角川春樹著「合本俳句歳時記」、角川春樹事務所、1998年刊)
・台風15号の影響で、千葉県と神奈川県の合せて46万7800戸余りが停電しています。千葉県では45万8400戸が停電しています。早い復旧が望まれますが、東京電力は「今日中の全面復旧は見通し立たず」と今朝方に発表しました。原因追及の批判が起きますね。

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2019年09月10日

くれなゐに暗さありけり葉鶏頭

廣瀬直人(1929~2018)

葉鶏頭が秋の季語。雁来紅j(がんらいこう)、かまつかも同意の季語です。
インド原産のヒユ科の1年草。茎は直立して、1メートルから1.5メートルに達します。花は目立たず、葉は黄色、淡紅色から紅、緑の3色になり、秋の低温によってさらに色を増します。雁のくるころに深い紅になるので、雁来紅とも呼ばれます。中には黄色になる雁来黄と言われるものもあります。
この句では、葉鶏頭の中にも、紅の色が、いっそう暗く見えるものもある、と詠っていて、良いところに目を付けていますね。
作者ひろせ・なおとの紹介は、2006年2月6日参照。
(出典:「新版・俳句歳時記(第二版)」、雄山閣、2003年刊)
・台風15号の影響で千葉では広い範囲で停電が続いています。早い復旧が望まれます。韓国の文大統領は、疑惑の渦中の人物を法務大臣に任命、大きな混乱が起きそうです。ようやく西川日産社長が辞任。

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2019年09月09日

菊の日や水すいと引く砂の中

宇佐美魚目(1926~2018)

菊の日が秋の季語。重陽、重九、重陽の宴、菊の節句、九日節供、菊水なども同意の季語です。
陰暦9月9日の節句のこと。陽とされた九の数が重なるのは目出度いことだとして、高い丘にのぼって、菊花酒を飲み、長寿を願いました。平安時代には重陽の宴の宮廷行事になり、菊の酒を賜りました。1月7日、3月3日、5月5日、7月7日とともに五節句と言われています。
この句では、重陽の日に、砂に水をかければ、すいと水が引いてゆくのが見える、と詠っています。
作者うさみ・ぎょもくの紹介は、2006年6月21日参照。
(出典:蝸牛社編集部編「新季寄せ」、蝸牛社、1995年刊)
・昨晩から今朝にかけて、台風15号が雨と風の猛威をふるって北上してゆきました。午前2時半ごろから3時半ごろがピークで、風速42メートルを記録しました。しかし、停電もなく無事に夜が明けて行きました。自然の驚異ですね。

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2019年09月08日

九月来箸をつかんでまた生きる

橋本多佳子(1899~1963)

九月来(らい)が秋の季語。九月も同意の季語です。
秋もそろそろを半ばを過ぎて、初めのころは残暑ですが、少しずつ大気が澄んで爽やかになってきます。天候の変化も大きくて、台風のシーズンでもありますね。台風15号が接近中。
この句は、作者が大阪の病院へ入院中に作られました。炎暑の中を2か月も過ごした作者に、9月の涼風の到来は本当に生きた心地がしたことでしょう。「箸をつかんでまた生きる」が切実ですね。
同じ作者に次の句があります。
九月の蹠ぴつたり生きて立つ  多佳子
蹠(あうら)とは、足の裏のこと。これはまた、生きていることの嬉しさが伝わってきます。
今日は、白露。大相撲九月場所初日。
作者はしもと・たかこの紹介は、2005年1月25日参照。
(出典:大岡 信著「第十 折々のうた」、岩波新書、1992年刊)
・野球U18、5位、順当。米国と台湾が決勝戦。3位4位戦は韓国と豪州。エンジェルスの大谷選手は4番DHで1本塁打17号、5打点、試合中。相手はシカゴホワイトソックス。

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2019年06月19日:栗の花紙縒の如し雨雫
2019年04月10日:春暁や一点燈の大伽藍
2019年01月10日:堀川の水の暗さや宵戎
2019年01月01日:元日や上々吉の浅黄空
2018年12月31日:銭洗弁財天の師走かな
2018年12月25日:雪道や降誕祭の窓明り
2018年12月15日:柊の花に何喰む神の鷄
2018年10月30日:神に水仏に線香秋深む
2018年09月24日:名月や故郷遠き影法師
2018年07月14日:巴里祭厠に残る女の香
2018年05月09日:古溝や只一輪の杜若
2018年03月19日:剪定の腰手拭や一日晴
2018年02月18日:老梅の穢き迄に花多し
2017年10月26日:空山へ板一枚を荻の声
2017年06月16日:葛桜男心を人問はば
2017年01月14日:八十の媼と遊ぶ女正月