2019年03月18日

人ごみに蝶の生るる彼岸かな

永田耕衣(1900~98)

彼岸が春の季語。お彼岸、入彼岸、彼岸過ぎなどが同意の季語です。
今日は、彼岸の入り。彼岸は、春分の日を中日(ちゅうじつ)として、その前後3日ずつ、計7日間を言い、法事や法要が行われます。彼岸は仏教用語の悟りの世界の意味で、迷いの世界を示す此岸(しがん)の反対語。彼岸の第1日目を「入彼岸」、最終日を「彼岸ばら」と呼んでいます。俳句では、ただ「彼岸」と言えば春のことで、秋の彼岸は「秋彼岸」と言い分けています。
この句では、彼岸になると、にわかに人込みで蝶が生まれてくるように見えると詠っています。寒さが一段落して人込みが懐かしくなるからですね。
作者ながた・こういの紹介は、2005年2月25日を参照。
(出典:飯田龍太他著「集成・昭和の俳句」小学館、1995年刊)
・マリナーズと巨人の試合は6対4でマリナーズ、アスレチックスと日本ハムは5対1でアスレチックス。イチローは3の0、まだ試合勘が戻っていませんね。日本ハムの金子選手が好投、9三振を奪いました。今日も2試合行われます。

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2019年03月17日

たんぽぽを折ればうつろのひびきかな

久保より江(1884~1941)

たんぽぽ(蒲公英)が春の季語。鼓草、藤菜、蒲公英の絮も同意の季語です。
公園のあちこちで日を浴びて蒲公英が咲き始めましたね。キク科の多年草。地下茎から切れ込みの深い多数の葉の間から、数本の花茎を出して、頂きに黄色い花をつけます。花のあとに半透明な珠のような絮を吹いて飛ばす遊びは誰しも経験したことでしょう。花期は3月から5月ごろまでで、柔らかい葉は食用になり漢方薬として腫物の治療に用いられます。
この句では、蒲公英の茎を折るとあたかも乳白色の乳を吐いて、うつろな響きがすると詠っています。女性らしいやるせない気持ちが表現されていますね。
作者くぼ・よりえの紹介は、2006年4月6日を参照。
(出典:「合本 俳句歳時記第三版」角川書店、2003年刊)
・カーリング女子の世界選手権がデンマークで開幕。日本代表の中部電力は、世界3位の強豪スコットランドに快勝。17日は、アメリカ、ドイツと対戦。活躍が期待されます。

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2019年03月16日

アネモネや手紙短く書き直す

岡本 眸(1928~2018)

アネモネが春の季語。紅花翁草、はないちげ、ぼたんいちげなども同意の季語です。
アネモネを見ているといつしか眠くなりますね。キンポウゲ科の多年草。南ヨーロッパが原産地。明治の初めに渡来し、花壇や鉢植えで広く栽培されていて、秋に植えた球根から芽を出しては春の半ばに30センチほどの花茎を伸ばして罌粟に似た花を咲かせます。一重、八重、小さいものから10センチほどの大輪まであり、花の色は、赤紫、紅、紫、白などがあって華やかです。名前は風を意味するギリシア語に由来します。
この句では、きっと夜に書いた長い手紙を翌朝になって短く書き直した作者の気持ちのありどころとアネモネが響きあっています。
作者おかもと・ひとみの紹介は、2005年4月14日を参照。
(出典:佐川広治著「季語の花―春」、TBSブリタニカ、2001年刊)
・トランプ大統領は、国境沿いの壁を建設するために出した非常事態宣言を終結させる議会の決議に対して、就任後初となる「拒否権」を発動。議会からの反発が予想されます。大統領ごっこに明け暮れるアメリカの未来が心配ですね。

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2019年03月15日

ネクタイの端が顔打つ春疾風

米沢吾亦紅(1901~86)

春疾風が春の季語。春嵐、春荒、春はやち、春のはやて、春北風、春強風なども同意の季語です。
春の強風。突風を春疾風と言います。どちらも雨を伴いませんが、暴風雨になると春荒と言います。移動性の高気圧と低気圧が交互に西から東へ進むのは春の気象ですが、低気圧が日本海を通るときに春嵐が起こりやすくなりますね。寒冷前線が南下すると、突風の吹くことがあり、これが春疾風です。
この句では、その春疾風が顔のネクタイの端を打って、気持ちがなえてしまった男のつらさが伝わってきます。
作者よねざわ・われもこうは、長崎市の出身。俳句は中学時代から作り始め、俳誌「馬酔木」に参加、馬酔木燕巣会を結成し、俳誌「燕巣」を創刊、主宰します。句集に「童顔」「老樹」などがあります。
(出典:角川春樹著「合本俳句歳時記」、角川春樹事務所、1998年刊)
・米ボーイング社の主力小型機737MX8型は、第4世代の新型ジェット機。現在、世界で371機が運航されています。アメリカのトランプ大統領は、昨年10月にインドネシア、今月10日にエチオピアで墜落事故。相次ぐ墜落事故のため、運航禁止に踏み切りました。世界規模で影響が広がるのを懸念します。

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2019年03月14日

白紙に土筆の花粉うすみどり

後藤夜半(1895~1976)

土筆(つくし)が春の季語。つくづくし、つくしんぼ、筆の花、土筆野、土筆摘むなども同意の季語です。
日当たりの良い土手や野原などで見かけます。トクサ科の多年草。杉菜の地下茎から出る胞子茎で、褐色の茎の先端に長い楕円形の胞子穂をつけて、茎が伸びると淡い緑色の胞子を盛んに散らします。また、袴という退化した褐色葉を茎の節ごとに付けます。
この句では、野山で摘んできたばかりの土筆を白い紙の上に広げて袴を剥いている様子がわかります。土筆の頭からこぼれた粉が白い紙をほんのりとうすみどり色に染めています。それは花粉ではなく胞子ですが、若草の緑と菜の花の黄色の混じり合ったまさしく春の色ですね。
連れ合いに義理チョコひとつホワイトデー  風伯
作者くらた・こうぶんの紹介は、2005年9月6日を参照。
(出典:青柳志解樹著「俳句の花(上)」、創元社、2008年刊)
・イギリス議会は14日朝、EUと何の取り決めもないまま離脱する「合意なき離脱」の回避を支持しました。賛成321、反対278。議会は今後、離脱の延期の是非について議論を進めることになります。まだまだ大英帝国の興亡は続きますね。

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2019年01月10日:堀川の水の暗さや宵戎
2019年01月01日:元日や上々吉の浅黄空
2018年12月31日:銭洗弁財天の師走かな
2018年12月25日:雪道や降誕祭の窓明り
2018年12月15日:柊の花に何喰む神の鷄
2018年10月30日:神に水仏に線香秋深む
2018年09月24日:名月や故郷遠き影法師
2018年07月14日:巴里祭厠に残る女の香
2018年05月09日:古溝や只一輪の杜若
2018年03月19日:剪定の腰手拭や一日晴
2018年02月18日:老梅の穢き迄に花多し
2017年10月26日:空山へ板一枚を荻の声
2017年06月16日:葛桜男心を人問はば
2017年01月14日:八十の媼と遊ぶ女正月
2016年12月10日:武蔵野の雀と親し冬柏
2016年06月22日:美しき緑走れり夏料理