2017年09月19日

溝そばは群れて淋しき花なりし

稲畑汀子

溝そば(蕎麦)が秋の季語。牛の額も同意の季語です。
昔は、家畜も食べない無用の植物でしたが、いまでは川べりに咲く風情が親しまれていますね。タデ科の1年草。溝や小川の辺に群れて咲いています。茎にはとげの形をした毛が密生しています。茎の先には金平糖のような淡紅色の花をつけます。葉の形が牛の額に似ているところから「牛の額」とも呼ばれています。実に三稜があって蕎麦に似ているところから付けられました。葉や茎を煎じて飲めばリュウマチに効くと言われています
この句は、溝蕎麦の咲いている様子を実にぴったりとらえています。水辺が似合う可憐な花ですが、どこか淋しい風情があります。
作者いなはた・ていこの紹介は、2005年3月20日を参照。
(出典:角川春樹著「合本俳句歳時記」、角川春樹事務所、1998年刊)
・昨日は相模原橋本の蓮乗院へ墓参り。ものすごく暑い日でした。

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2017年09月18日

敬老日とは煮小豆をことことと

及川 貞(1899~1993)

敬老日が秋の季語。敬老の日、老人の日、年寄りの日なども同意の季語です。
本人はその気持ちが無くても、私も75歳になりましたから間違いなく老人の域に達しましたね。
敬老の日は9月14日で、昭和26年から始まり、昭和41年には国民祝日になりました。毎年振替休日とやらで今年は18日、有難みも少し薄れます。趣旨は多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し長寿を祝う日。この日は老人の福祉や敬老に関する啓もうについて考え実行する日とされています。
この句の作者はそのようなことにお構いなく台所で小豆を煮て夕食の準備をしています。普段の日常の一こまが心に沁みますね。
作者おいかわ・ていの紹介は、2005年8月22日を参照。
(出典:「日本大歳時記」、講談社、1981年刊)
・お騒がせの台風18号は、北海道に上陸しそうな勢い、まだ予断を許しません。さて国会解散の様子。衆議院を解散するよりは、安倍首相の退陣する方が先でしょう。

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2017年09月17日

ボール箱解くより先に胡桃鳴る

橋本美代子

胡桃が秋の季語。姫胡桃、鬼胡桃、沢胡桃、新胡桃なども同意の季語です。
ふつう、胡桃と呼んでいるのは鬼胡桃のこと。クルミ科の落葉高木。秋の木の実の代表。自生種の鬼胡桃、姫胡桃、殻が割れやすい栽培種のペルシャ胡桃などがありますね。殻の中の実はそのまま食べるほかに胡桃餅、胡桃和えなどにします。昔は、食事が質素だったので脂肪分があり、コクのある味わいを「胡桃味」と言って喜ばれました。胡桃は熊の大好物です。
この句は、胡桃がボール箱で送られてきた時の嬉しさを捉えています。
作者はしもと・みよこの紹介は、2006年7月12日を参照。
(出典:辻 桃子著「俳句の草木」、創元社、2003年刊)

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2017年09月16日

花伏して柄に朝日さす秋海棠

渡辺水巴(1882~1946)

秋海棠(しゅうかいどう)が秋の季語。断腸花も同意の季語です。
花には東洋的な趣があり、昔から絵画に多く描かれています。シュウカイドウ科の多年草。中国が原産地。寛永年間に渡来したと言われています。草の丈は40~50センチで、葉はハート形をしています。頼りなげに伸びた花柄に淡紅色の花を咲かせます。花の後には、葉の付け根にむかごをつけ、落ちて新しく苗ができます。
この句は、清楚な秋海棠が朝日を受けて輝いている様子が伝わってきますね。控えめな花ですが、心を打つものがありますね。
作者わたなべ・すいはの紹介は、2005年2月4日を参照。
(出典:「日本大歳時記」、講談社、1981年刊)
・今日は横浜で句会。台風18号は九州に接近中。関東地方にもその影響で荒れそうです。

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2017年09月15日

よそに鳴る夜長の時計数へけり

杉田久女(1890~1946)

夜長が秋の季語。長き夜、夜長しも同意の季語です。
夜が最も長いのは12月の冬至前後ですが、夏の短夜の後だけに、秋になるとめっきり夜が長く感じますね。だいぶ夜が更けたと感じて時計を見てみるとまだ宵の口だったりします。夜なべに精が出たり、読書に身が入ったりするのもこのころですね。冷え冷えとした秋はいっそう夜の長さを感じます。
この句は、秋の夜長によそのお宅の柱時計の音が気になってしまう作者の心境がよく伝わってきます。
作者すぎた・ひさじょの紹介は、2005年1月26日を参照。
(出典:角川春樹著「合本俳句歳時記」、角川春樹事務所、1998年刊)
・またも北朝鮮がミサイル発射。今朝7時にテレビをつけたら、即臨時ニュース。一瞬慌てましたが、すぐに怒りがこみ上げてきました。もしも間違えたらと思うとぞっとします。どのように対応すべきか誰にもわかりません。

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2017年06月16日:葛桜男心を人問はば
2017年01月14日:八十の媼と遊ぶ女正月
2016年12月10日:武蔵野の雀と親し冬柏
2016年06月22日:美しき緑走れり夏料理
2016年05月28日:童らに空の花なる立葵
2016年04月09日:少年の髪白みゆく桜狩
2016年04月07日:鶯の次の声待つ吉祥天
2016年04月05日:花曇小雀の嘴の苔一片
2016年02月08日:山里や男も遊ぶ針供養
2016年01月12日:裏白や齢重ねし父と母
2016年01月06日:楽想を失ひ手毬唄漂ふ
2015年12月24日:懐妊や金銀灯し聖誕樹
2015年12月04日:凩や馬現れて海の上
2015年11月24日:初冬の竹緑なり詩仙堂
2015年09月11日:踏切を流れ退く秋出水
2015年09月07日:蜩や暗しと思ふ厨ごと
2015年07月09日:水中に夕日爛熟花蓮
2015年05月15日:花に朴人にはありし志
2015年02月17日:磔像の全身春の光あり