2020年03月30日

大仏の手を囀りのこぼれける

菅井冨佐子(1918~94)

囀りが春の季語。囀るも同意の季語です。
複雑な囀りをする鳴禽類(めいきんるい)の行動は、雄が雌に求愛のために、あるいは鳥が自分の縄張りを知らせるためのものです。鶯、雲雀、頬白などの囀りが春の代表的なもので、繁殖期にもっとも盛んですね。これに対して、鳥が仲間に合図をする鳴き方を「地鳴き」といいます。
この句では、桜が咲いている、鎌倉の長谷の大仏を取り上げています。あの大きな大仏の手にすがって、鳥たちの囀りの声がこぼれんばかりに重唱しています。
作者すがい・ふさこの紹介は、2005年7月8日を参照。
(出典:菅井冨佐子句集「曼殊沙華」、野火発行所、1986年刊)
・新型コロナウイルスの影響が世界や日本を覆っています。東京都では、夜の繁華街で感染した疑いを複数確認したとあります。今後は特に夜間の外出を控えなくてはなりませんね。感染経路をたどれないことが多く、問題を複雑にしています。

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2020年03月29日

霾るや電車は夕日に突入す

新海あぐり

霾(つちふる)が春の季語。黄沙、黄砂、黄塵万丈、薶(ばい)、蒙古風、つちかぜ、よなぐもりなども同意の季語です。
春になって、まだ草も生えそろわないころの中国北部やモンゴル地方では、強い風に砂が吹き上げられて、空を覆う現象が起きます。その空に舞い上がった砂は、太陽の光を鈍くして、一面にわたって黄褐色になりますが、これを気象用語で「黄砂」と呼びます。昔からこの砂が上空の西風に乗って、日本の特に九州地方に下降してきます。
この句の「霾る」は「土降る」を意味しています。大風によって吹き上げられた土砂、特に黄砂の中へ、夕日を浴びて電車が突っ込んでゆくと、ダイナミックに表現しています。
作者しんかい・あぐりの紹介は、2005年3月30日を参照。
(出典:新海あぐり句集「悲しみの庭」、朝日新聞社、2001年刊)
・今日の横須賀は雨。低気圧と寒気の影響で、関東の北部や甲信の山沿いを中心に雪が降っています。平野部でも積雪があるようです。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が要請されていますから自宅でゆっくりされるといいですね。イタリア、スペインで死者が急速に増えています。

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2020年03月28日

水に触れ触れひるがへるつばくらめ

早川光彦(1923~2005)

つばくらめが春の季語。燕、つばくろ、乙鳥、玄鳥、燕来る、初燕、飛燕、朝燕、夕燕なども同意の季語です。
今年も近くのクリーニング店の軒に燕が巣を作っています。毎年、南方から渡来して来るのがとても楽しみです。燕は、一番子、二番子と子を育てて、9月半ばごろから11月にかけて、群れを作ってまた南方に帰ってゆきます。黒い艶やかな羽色をかがやかせて、軽快に飛翔する姿は見ていても気持ちがよいものですね。
この句では、燕の飛翔する姿が見事にとらえられています。川の水に触れているようで、触れないようで、すばやくひるがえる姿が印象的です。作者の趣味は多彩で、絵を描くことを得意としていました。
作者はやかわ・みつひこの紹介は、2008年3月20日を参照。
(出典:早川光彦著「早川光彦全句集」、私家版、2011年刊)
・新型コロナウイルスのアメリカの感染者が8万5000人を超え、中国を抜いて一番になりました。ニューヨーク州が非常事態です。トランプ政権は、総額230兆円の緊急経済対策を成立させました。日本も強力な経済対策が必要ですね。

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2020年03月27日

春耕の農夫土より湧きあがる

長谷川智弥子(~2014)


春耕が春の季語。耕、たがへし、耕人、耕馬なども同意の季語です。
稲、穀物、野菜などの種まきや苗植えの前に、田畑の土をすき返し、土の状態をよくして、根が伸びやすい状態にするのが「耕」で、春に多く行われます。俳句では「春耕」を耕にしています。稲の場合は、一毛作では春の雪解けの後に行われます。昔は、牛や馬を使って耕し、人が耕したりしましたが、今では機械に頼るようになりました。伝統的に耕は春の仕事の始まりとして活動の季節を開くものですね。
この句の作者は新潟の人。農夫が土より湧きあがってくるように見えると詠い、臨場感にあふれた光景が浮かんできます。
作者はせがわ・ちやこの紹介は、2005年7月19日を参照。
(出典:利根川 裕著、俳句・長谷川智弥子「智弥子百句」、おぐに山荘出版、1992年刊)
・トランプの再選に赤信号? アメリカの感染者が急増しています。新型コロナウイルスへの対応如何では、大統領選挙に大きな影響を受けそうです。日本でも国内感染者が1400人を超えました。WHOのテドロス事務局長の辞任を求める署名活動がインターネットで急増しています。しばらくの間は外出はしないほうがいいですね。


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2020年03月26日

みちのくの緑は蕗の薹よりぞ

福田蓼汀(1905~88)

蕗の薹が春の季語。春の蕗、蕗の芽、蕗の花なども同意の季語です。
蕗の薹を摘んで食べるとほろ苦い風味があります。味噌にすりこんで入れたり、てんぷらにすると春の食卓が一層楽しくなりますね。キク科の多年草。雪解けを待ちかねたように、緑色の花穂を土の中から出します。キク科に属していますが、その外側は大きな薄緑色をした葉に幾重にも包まれています。蕗の薹に出会うと春のなったと思いますね。古代から食用に供されていますが、江戸時代になって俳句で多く取り上げられるようになりました。
この句では、ストレートに、みちのく地方の春は、蕗の薹の緑から始まる、と詠っています。今年で9年目を迎えた11日の東日本大震災記念日は、新型コロナウイルスに影響されて寂しいものとなりましたね。
作者ふくだ・りょうていの紹介は、2005年3月10日を参照。
(出典:「蝸牛 新季寄せ」、蝸牛社、1995年刊)
・「東京が危ない」。一部のマスコミは、新型コロナウイルスが、都内の繁華街にある夜間営業中心の飲食店で、クラスターと呼ばれる感染者の集団が発生している模様と報道しています。世界で感染者が40万人を超え、亡くなった方は、イタリアで7500人を超え、スペインでも3400人にのぼっています。すさまじさに呆然としますね。

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