[2005年05月23日]

俳句(2005-05-23)

初夏に開く郵便切手のほどの窓

有馬朗人

季語は初夏。万物が鳴動する初夏にかかわらず、閉塞状況の自分にとっては、郵便切手ほどの窓が開いた心境であると作者は詠んでいます。
ところで6年前の1999年2月に、2家族でウェディングをしに、フランス領ニューカレドニアへ旅行したことがありました。成田は厳寒、ニューカレドニアは初夏、冬から夏への旅行で、頭と体が混乱したことを覚えています。もちろん、季語は夏になります。
このときに首都のヌメアから、メラネシア人が「海の宝石」と呼ぶイル・デ・パン島へ飛びました。白い砂、エメラルドグリーンの海の色、ひとときこの世の楽園に遊びました。
またイル・デ・パン島では、パリ・コミューン(パリの革命的自治政権)の政治犯約3,000人の流刑地の跡を見ることができました。この流刑については、大仏次郎著「パリ燃ゆ」の「ニュウカレドニア」の章に詳しく登場します。それはパリ・コミューンが崩壊した1872年5月の頃でした。
いまや雑草に覆われ廃墟になった建物に幾つか小さな窓が見られました。囚われ人から見れば、それこそ郵便切手ほどの窓から、パリへの望郷の思いを持ったことに思い至りました。
この句は1972年刊の第一句集「母国」に所収されています。
イル・デ・パンでの風伯の句
「ハイビスカス星に契りを結ぶ夜」
作者ありま・あきとの紹介は、1月11日を参照。
(出典:「現代の俳句」講談社、1993年刊)

投稿者 m-staff : 2005年05月23日 07:40

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