[2005年11月08日]

俳句(2005-11-08)

凩や目刺にのこる海のいろ

芥川龍之介(1892~1927)

凩(こがらし)、木枯しが冬の季語。目刺は春の季語。ここでは木枯しの冬をとります。
「凩や」とぽーんと言葉を投げ出して季感を訴えています。こがらしは、11月前後に吹き、木の葉を落として、枯れ木にしてしまう強い風です。
外はこがらし、いま長崎から届いた小包を開けると、生々しい目刺です。その肌は青く光って、明るい海の青でした。冬のわびしい気分が目刺の艶に南国の海の色を浮かべているのを見て、作者は感激しています。新鮮な目刺を送ってくれた人に感謝をしています。
ここは鰯の目刺でなければなりません。庶民の感覚を見事にとらえた名句です。
また、龍之介には次の句もあります。
「木がらしや東京の日のありどころ   龍之介」
・作者あくたがわ・りゅうのすけの紹介は、6月17日を参照。
(出典:「新歳時記」河出文庫、1989年刊)

投稿者 m-staff : 2005年11月08日 07:33

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