[2005年12月21日]

俳句(2005-12-21)

擦り切れる程に鼻緒の年惜しむ

榊原風伯

年惜しむが冬の季語。
十二月も半ばを過ぎて、余すところ日が少なくなったときの感慨をいいます。過ぎ去ってゆく年を惜しむ意味です。
この句は、1999年12月18日、東京上野周辺の吟行のときに出来た句です。このときはアメヤ横丁、不忍池を散策、そして台東区立下町風俗資料館を訪ねました。
下町風俗資料館は、1980年10月に失われて行く下町の記憶を後世に伝えるために、上野公園不忍池畔に開館しました。江戸時代から昭和30年代までの庶民の生活資料を展示しています。
その中に偶然、擦り切れた下駄の鼻緒を見つけました。見ているうちにふっとこの擦り切れた鼻緒にも履いていた人のささやかなドラマがあるのだということに気がつきました。「程に」にこの句に対するわたしの思いが込められています。
(出典:炎環「新季語選」紅書房、2003年刊)

投稿者 m-staff : 2005年12月21日 07:45

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://yasumasa.jp/mt/mt-tb.cgi/444